更年期の自律神経失調症②
視床下部の命令によって女性ホルモンが分泌され、その女性ホルモンがフィードバック的に視床下部に働いて、命令が止むメカニズムになっていることは先に述べました。
更年期に差し掛かった卵巣だったとしたらどうでしょうか。もう活動が止まってしまった卵巣に対して、いくら命令を送っても女性ホルモンは出てきません。女性ホルモンが出てきませんので、視床下部は、自分の命令が達成されていないと思い込みます。それで、命令をさらに送り続けます。それでも女性ホルモンは出てきません。さらに命令し続けます。やっぱり出てきません。こうなると、もうムキになって命令をなって命令を出し続けます。

ところが、視床下部という器官は、女性ホルモンの分泌を促す仕事だけをしているのではありません。
先ほど、自律神経の働きを大本でコントロールしているのが、視床下部であると述べました。
つまり視床下部は、卵巣に命令するだけではなく、他に大事な仕事を山ほど抱えているのだということです。しかし、ムキになって女性ホルモンの分泌を促す命令を出し続けているので、他の仕事がおろそかになってしまうのです。
他の仕事とは、体温調節、発刊の調節、血圧のコントロール、その他自律神経が支配するすべての仕事です。
言ってみれば、人間が生きていくうえで、非常に大切な、無意識のうちに行われている身体の調節機能を司っているのが視床下部なのです。

それで、人によっては、突然、運動もしていないのに汗がドーッと出てしまったり、風邪でもないのに微熱が続いたり、血圧が上がったり下がったりというような更年期障害特有の症状に至るわけです。
それほどはっきりしないまでも、身体の調子が良くない、具合が悪い、イライラする、眠れない、といった症状を訴えることもあります。
これはいままで述べてきたように、間脳の視床下部が、女性ホルモンの分泌にだけ気を取られ、大事な身体機能調節の役目を忘れてしまうから起こるものなのです。
※続きは明日!